きんゐかうし卿

エドtvのきんゐかうし卿のネタバレレビュー・内容・結末

エドtv(1999年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

 


『メディアの恩恵と弊害を味わう男の物語』

自宅にて鑑賞。売れ始めたM.マコノヒー主演で、一般人の日常を24時間放映するケーブルchの「トゥルーTV」なる番組によるラブ・コメディ。一見、寓意に満ちた『トゥルーマン・ショー('98)』を髣髴させるが、リアリティーを持たせている分、本作の方が生臭く、退屈な場面や展開も多い。奇を衒わない有り触れた撮り方とプロットで、オチも想定範囲内のハッピー・エンド──物足りなく感じるのは、薄っぺらいキャラ造型や物語の背景等の作り込みにも及ぶが、起伏の少なく、刺激を求めない安定志向を望む向きには丁度良いのかも知れない。50/100点。

・カナダ・仏合作『Louis 19, le roi des ondes('94・日本未公開作)』のリメイクではあるが、様々なトークショーやナイトショー等、他局のTV番組やスキャンダル報道、ゴシップ紙等の電波以外への波及等も多角的に組み込まれており、更には昨今、よく取り沙汰されるヤラセや番組製作側上層部の思惑等、番組作りの裏側も垣間見れる。

・本人役で出ているA.ハフィントン、B.マー、J.レノ、M.ムーア、M.マーコー、J.プリンプトン等、癖の強い面々が顔を揃えているが、それぞれのキャラが活かしきれていない。特に“レイ・ペカーニー”のW.ハレルソン、“ハンク・ペカーニー”のD.ホッパーは存在感が強いだけに、もっと積極的にストーリーに絡んできて欲しかった。

・テロップにて"Day 1~Day 60"と章立てを刻むのはいいが、余り変わり映えせず、中途半端で不要にも思える。更に場所を示す"Omaha, NE."、"University of lowa"、"South Phikadelphia, PA."等々、視聴者の場所を示すテロップも出るが、その中の一つに"Delta Tau Chi"と云うのが紛れ込んでいる。これは『アニマル・ハウス('78)』に登場する架空の友愛団体名である。

・第一回目の「エドtv」、オープニングで“エド・ペーカニー”が目醒めるベッド上には"Longview - 12 miles."とのサインボードが見れる。この役を演じているM.マコノヒーの故郷はテキサス州ロングビューである。この初回の放映画面下部に表示されている広告には"NORTH BEACH VIDEO/1398 Grant St. San Francisco"とあり、これは“エド・ペーカニー”の勤めているレンタルビデオ店である。この放映画面下部の広告欄は、物語の進行と共に番組に人気が出て来ると徐々にスペースを拡げ、メジャーなスポンサーが附き、ロゴも表示される程、立派に変化して行く。

・後半、M.マコノヒーの“エド・ペーカニー”が公募するTV関係者のゴシップコンテストで優勝したエピソード(E.デジェネレスの“シンシア・トッピング”が匿名で投稿した)陰茎インプラントと云う話題は、本作のR.ハワード監督が本作以前に作った『ザ・ペーパー('94)』にも登場している。

・ケーブルchの代表者“ウィテカー”を演じているのは、『スタンド・バイ・ミー('86)』や『恋人たちの予感('89)』、『ミザリー('90)』等の作品で今やコメディアンより監督して知られているR.ライナーである。当初、E.デジェネレスが演じた“シンシア・トッピング”はJ.アニストンが予定されていた。亦、“ハンク・ペカーニー”役は、T.ベレンジャーにオファーされたが、スケジュールが合わずD.ホッパーになったらしい。

・鑑賞日:2019年7月28日(日)