きんゐかうし卿

アウトレイジ 最終章のきんゐかうし卿のネタバレレビュー・内容・結末

アウトレイジ 最終章(2017年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

 



『エピゴーネンと呼ばれても仕方のない凡作』


自宅にて鑑賞。北野映画を支え続けたプロデューサー森昌行と袂を分かつ事になり、名実共にオフィス北野への置き土産となった“最終章”。テイストは違えど、スタッフや演者の顔触れも変わり映えしない明らかな『ソナチネ('93)』の焼き直しであり、死に場所を求め死に急ぐ極道が描かれている。序盤から徐々に尻すぼみになり、正に龍頭蛇尾な出来、ラストも無理矢理締めた様な印象で、如何にも納まりが悪い。そして『アウトレイジ』三部作の本筋は子による親や伯父、兄貴等を含む肉親殺しが形を変え繰り返されている事に気附いた。50/100点。

・この三部作を好みの順に並べると、『アウトレイジ ビヨンド('12)』→『アウトレイジ('10)』→『アウトレイジ 最終章('17・本作)』となる(北野映画では『ソナチネ('93)』が一番好き)。

・クランクイン前の'16年2月、花菱会若頭“西野一雄”を演じる西田敏行は自宅ベッドから転落し、頸椎亜脱臼を発症し首が動かせなくなった上、歩行困難であったが、更に同年5月には胆嚢摘出手術を受けると云う追い打ちをかける事態が発生していた。亦、花菱会若頭補佐“中田勝久”役の(本作内では脂抜きした燻し銀な印象だが、少々呂律が悪かった)塩見三省も'14年3月に脳出血で倒れ、リハビリ中の身であり、自力で立つ事も困難な状態であった。この二人に対し、脚本を兼ねた監督は歩かせる事無く、座った儘で演技が行えるようにシナリオを変更する気遣いを見せた。逆に云えば、この二人が出演しないと、本作は成立しえなかったのであろう。

・本作からシリーズに参加した花菱会会長“野村和夫”の北野組常連大杉漣であるが、本作完成後の'18年2月21日、急病により66歳で急逝した。

・前作『アウトレイジ ビヨンド('12)』よりウンッと出番が増え、凄みや存在感が格段に増した金田時男演ずる“張大成”会長の事務所の壁に掛けられている文言は「인으로 의를 이룬다 / 의로서 인을 다한다(“仁で義を為す / 義で仁を尽くす”)」と読める。

・鑑賞日:2018年5月5日(土・こどもの日)