kojikoji

1900年のkojikojiのレビュー・感想・評価

1900年(1976年製作の映画)
4.5
監督: ベルナルド・ベルトルッチ
音楽: エンニオ・モリコーネ
時間:5時間16分
イタリア映画の名作は全部観てやろうという企画では、この映画は難敵の一つだろう。

よくぞ、5時間16分を完走した。自分を褒めてあげたい。🤭化け物みたいな映画だった。
 5時間16分も映画を観れば、そりゃあ、たくさん感じたことや理解したこと、思ったことがある。それはしっかり心に、脳に残っているはずだが、今、それを整然と書くなんて芸当がとてもできるはずがない。
 今までやったことはないが、この作品は特別だ。
 長すぎることを言い訳にして、今、頭の中に浮かんできたものだけをまず掬い上げて、今のところのレビューにすることにした。
後は徐々に整理していきたいと思う。
 
#1364 2023年 399本目
1976年 イタリア🇮🇹/フランス🇫🇷/ドイツ🇩🇪映画

 1900年の同じ日に生まれた、2人の青年の波乱の人生を中心に、20世紀初頭から第一次世界大戦、ファシズムの台頭から第二次世界大戦の終了までのイタリア現代史を描く一大叙述詩。
 一人は大地主の孫アルフレード(ロバート・デニーロ)と一人は小作人の孫オルモ(ジェラール・ドパルデュー)だ。
 この変革の時代に大きく影響を受けた階層、地主と小作人。まさに時代の主人公となる彼等は一方は沈み、一方は浮き上がる。

 身分も境遇も違うが、奇妙な友情を深めた少年期、恋を知った1910〜20年代、ファシストたちの権力に屈する青年期とイタリア解放の日。時代に翻弄される2人の青年の姿を彼らが関わる人々のエピソードを交えながら描いていく。この二人の青年を若きロバート・デ・ニーロとジェラール・ドパルデューが演じている。

 長い農民の虐げられた日々も1945年のイタリア開放で終わりを告げる。農民達は歓喜し、ドナルド・サザーランド演じるファシストの象徴のアッティラを殺すが、ここでこの物語が終わってしまったら、単なる社会主義讃歌になってしまっていやだなと思っていたら、さすがにベルトリッチはそんなことはしなかった。今更社会主義を讃える映画など観たくない。
  
 演じる農民はリアリティーがある。木靴の樹は全員が素人の農民だったが、こちらも素人が多数参加しているように思える。あれは農民の顔だ。
 
 主役の2大スターに負けるとも劣らない輝きを見せているのが、この農場の管理人でファシスト党の民兵組織黒シャツ隊のリーダー的存在アッティラ役のドナルド・サザーランドだ。そして彼が愛するレジーナ役ラウラ・ベッティの貪欲さも、またすごい。この極悪非道の二人も激動の時代の中で夢を追いかけ、歴史に翻弄された存在なのかもしれない。

 もう一人。ちぃさんとコメントとのやりとりしていて思い出したのだが、主人公アフレードと結婚するアダ役のドミニク・サンダ。彼女は忘れられない女優なのだ。
ツルゲーネフ原作の「初恋」の主人公を演じている。学生の頃この映画を見て、しばらく恋していた女優だ。
 すっかり忘れていて、どこかで見た顔なのだがと調べて、そうか!という感じで思い出した。懐かしい人会えた。

 レビューの最初にベルトリッチに並べてモリコーネを持ってきたのは、レビューをちょっと見される方を意識した私の演出。
5時間の大河ドラマにモリコーネがどんな音楽で応えるいるのか、これもまた見もの(聞きものというのか?)なのだ。
もちろん、盛り上げてくれらのは必定。

イタリア映画を語るなら、絶対この作品の鑑賞は必要だったと思いました。genarowlandsさん、ありがとうございました。
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