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タクシードライバーのsummerのレビュー・感想・評価

タクシードライバー(1976年製作の映画)
3.5
何者にもなれない男の痛々しさが、哀れでもあるけど、それより彼自身が怖すぎた。自分のコミュニティにいたら、関わりたくないタイプ。若かりしロバートデニーロの演技すごいな〜刺さる人にはめちゃくちゃ刺さる映画だと思う。個人的には色々思うこともあって面白かった。

犯罪が横行してる掃き溜めのような街に辟易して、怒りすら覚えてるトラヴィス。でも、冴えない自分を、自分以外の何かしらのせいにしたいだけなんじゃないかな。
確かに良い街とは思えなかったけど、トラヴィスはどこにいたとしても、きっと同じような人生を歩んでたと思う。何かはわからないけど何者かになりたいっていう彼の気持ちは理解できる。ただ、おかしな方向で、どうにかしようとしてる姿がめちゃくちゃ怖い。全部彼の中で考えて出した理論に基づいての行動だから、因果関係も謎すぎる。

徐々に様子がおかしくなっていくけど、最初から変な人の片鱗は見えてて緊張感がある。何やらかすか分からない怖さみたいな。学がないのか、もしかすると病気なのか、それとも内向的な性格によるものなのか、トラウマになるような出来事があったのか、要因はわからないけど、話が噛み合ってないし、言動も突拍子がないから、周りの人からも距離置かれてる雰囲気で、孤独。

結末は結構好き。そこまでのトラヴィスを見てたら、割としっくりくる終わり方だったんじゃないかな。痛々しくてダサい。今回は彼の考えに基づいた行動がたまたまあんな風に転んだだけ。また同じようなことを繰り返して、いつかはうまくいかない時がくる気しかしない。
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