とびん

タクシードライバーのとびんのネタバレレビュー・内容・結末

タクシードライバー(1976年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

タクシードライバーが、選挙活動に勤勉な女性にアタックするも玉砕し、議員を暗殺しようとするが失敗、その鬱憤を晴らすかのように12歳の子どもを売春しているギャングを皆殺しにし、小さな英雄となる話。

主人公がモテない理由、人に好かれないのは、『自分がない』からなのだと思う。
喫茶店でシビルシェパードとお茶できたが、全て話題が他人任せ。
音楽等の趣向も持ち合わせてないうえ、相手の音楽を知ろうとも思っていない。
シビルシェパードにLPをプレゼントしようとしていたけど、ズレてるんだよな。
そういった実物が欲しいのではなく、レコードを聞いた感想だったり、意見を交換したりをするのが関係性を成り立たせると思う。
だから彼がするべきだったのは、レコードをプレゼントすることではなく、自分で音楽を聴くことだったのだろう。
案の定、プレゼントしたものの、彼女は自分のを持っていたし。
次期大統領候補にも直接会ったが、彼の個人的な意見はなかった。

結局、次期大統領候補を殺し損ねて、ギャングを虐殺したのち、英雄になる。
彼にとって幸か不幸か。

結局、彼に『自分』ができたわけではない。
抜本的には、何も解決していないのよね。
奏いった意味では、ハッピーエンドともいえないのではないか。
ただ、大統領候補を殺して、アメリカ史に残る犯罪者の代わりに、少女を助けた英雄になるという皮肉はよかった。

『ファイトクラブ』のように、どこからくるかわからない焦燥感が表現されていてよかった。
とびん

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