arch

39 刑法第三十九条のarchのレビュー・感想・評価

39 刑法第三十九条(1999年製作の映画)
4.2
初の森田芳光作品でしたが、衝撃を受けました。こんなに巧みな話運びをして、シリアスな題材を扱いながらふざけ倒している作品もない。まさに商業映画的な簡潔さとアート映画やインディペンデント映画的な大胆さの共存。これが森田イズムなのですか。
理屈よりもリズムや勢いを意識した作り、最近はあまり見ない迫力が詰まっていました。

ある役者の残忍な殺人事件が発生する。彼を精神鑑定にかけると二重人格と鑑定結果が出る。そんな彼を"守る"のが心神喪失者を無罪にする刑法第39条である。
この映画はその第39条という法律が生み出した咎についての物語になっている。
39条と同等に重要視される"演技"という要素。堤真一の圧倒的な演技力が観客を圧するように、また裁判所もその演技を見抜く術を持たない無能の機関に成り果てるわけだが、この映画は"演技"の絶大な力、そして映画や演技においてどこまでがコントロールされているのか、という曖昧さから来る恐怖を描き出していると思う。
arch

arch