このレビューはネタバレを含みます
犯罪系や、裁判系の映画では、3本の指に入るレベル。
日本の映画は陰鬱がよく似合う。色があるのに、灰色に見えるからだ。赤も、青も、決して白黒ではないのに、真っ赤とはいえない映りがこの映画にとても合っていた。
シナリオは今となっては普通だが、役者の演技がそれを上回る。堤真一の二重人格に目覚める(その演技もまた演技なのだが)瞬間もすごいが、全員の細かな演技がこの映画の象徴と言っても過言ではない。
鈴木京香と堤真一の表情の掛け合いは静かなのに迫力があって、それが怖かった。単なる鑑定人と、加害者ではなく、加害者親族と被害者親族である2人。様々な見方ができる。堤真一は鈴木京香がいなくても、最後にネタばらしをする予定だったんだろうけど思わぬハプニングが彼を救ってくれた。彼が救われてよかった。それにしても深く香るで香深(カフカ)最高にオシャレな名前だな。
日本の俳優は嫌な役をやらせると天下一品だと思う。検察官のあのだるさ加減は日本でしか出せない。
樹木希林の悟ってない役初めて見た。
くちゃくちゃと食べる音、ガムの咀嚼音、嫌な音ですらこの映画を作る一部だった。
いっそ、おかしくなってしまった方が楽なのに。正常なのに、異常なふりをする。全てはたった1人の少女のために。