しろくま君

アンダー・ユア・ベッドのしろくま君のネタバレレビュー・内容・結末

アンダー・ユア・ベッド(2019年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

大石圭の小説って題材はいいけど、話がまどろっこしくて基本的に面白くないと思っているので、全く期待せずに高良健吾鑑賞映画として楽しもうと思ったら良すぎて驚いた。

個人的に、1つのことに一生しがみつく、ストーカー、他人のために人生を捨てるという行為が大好物すぎて性癖ぶっささり映画。倫理観ぶち壊れてればぶち壊れてるほどストーカーってやつは美しい。

高良健吾がイケメンすぎてこいつの存在が忘れられることなんてなさすぎだろ……という気持ちにはなったし、相手の女の顔ブサイクすぎて、何を見せられてんだ……?ともなったが、全く人に相手にされてこなかった人種にとってはルッキズムよりも自分という存在を救ってくれた唯一ということが大事だということは痛いほど伝わってきた。

名前を呼んで貰えるだけで自分の存在が認められたような気持ちになるということがわかりすぎるので、執着理由ありがたすぎる。ていうか恋なんてそんなもんでいいんだよ本来。

高良健吾というイケメンなのにちゃんとキモイストーカーに見えるのすごい。

途中で思い出に「いや!妄想なんかい!きも!」となれるのもめっちゃいい。めちゃくちゃ接点無さすぎ。女が忘れてるの腹たったけど、それは忘れてますわ……レベルの接点。

でも、自分が絶対に忘れたくない人、忘れて欲しくなかった人に忘れられてた時の顔と言ったら演技うますぎてきもストーカーなのにこっちも悲しくなったわ。

最後、旦那殺すまでいったの凄い。絶対殺せないだろと思ってたから、女が殺そうとする手をどけて、自分で仕留めるのめっちゃ愛。たかだか名前呼んでくれただけの女を11年間思い続けて、旦那まで殺すのはまぎれもなく愛。どんなにキモくても。

だからこそ結局名前呼ばせる演出は、原作読んでないからなんとも言えないけどちょっとチープでは?となった。女にとっては、あの頃のコーヒーの記憶とかまじでどうでも良くて、今助けてくれたグッピーの男でしかないわけで、あの部屋見てあの写真みて「コーヒー飲んだ……!」はちょっと都合よすぎでは?となった。でも、高良健吾は名前をもう一度呼んでもらうためだけ(本当はセックスしたいけどそんな高望みできない)に人殺して、それが最後の最後で報われて、あの振り向いた時の演技がなんとも言え無さすぎて、高良健吾の演技力でカバーされたみたいなところある。

あの時、何を思ったんだろう。もっと早く思い出してくれればこんなことには?やっと思い出してくれた嬉しさ?どれも違う気がする。

幸せというやつを噛み締めていた30年だったが、最後に呼ばれたことで、これからはあの日おいてけぼりにされた自分を救ってくれた日々になるといい。