masahitotenma

皆殺しの天使のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

皆殺しの天使(1962年製作の映画)
3.9
何故か部屋から出られなくなってしまったブルジョア階級の人々を描いた不条理劇。
監督・脚本はルイス・ブニュエル
原題:(西語)El ángel exterminador (1962)

夏の暑い夜、プロビデンシア(神意)街。
オペラ公演が終って、上流階級の紳士淑女20名が宮殿のように豪華なノビレ邸に招待され、夜食をとるために集まって来る。
ところが、邸宅の召使いたちはなぜか晩餐会の前にコソコソと立ち去り、執事一人だけになる。
何とか晩餐の用意がなされ、列席者たちは食事の後サロンに移る。
ところが、帰る時刻が近づても誰も帰ろうとせず、朝の4時を迎え、遂に帰るきっかけを失い、皆眠りこむ。
次の朝になってみると、なぜか誰も部屋から出られなくなる。
数日が過ぎ、水や食料が尽きて、悪臭もして人々は正気を失っていき、ついに死者も出る。
一方、外では軍隊も出動する騒ぎとなるが、なぜか誰も邸宅の中に入ろうとしない。
誰かがこの異常事態の原因は招待をした主人にあり、彼を殺せば問題が解決すると言い出し、追い詰められた主人は拳銃自殺を図ろうとする。その時、若い女性がふとある考えを思い付き、それに従うことで無事脱出に成功する。
感謝のためミサに出席するが、ミサの後、人々は教会から出られなくなる。

ラストは、
鐘の音、銃撃、外から教会に逃げ込んでいく羊の群れ、悲鳴…

皆殺しの天使とは誰か?
タイトルの意味は?
合理的解釈を拒否するこの作品は、スペイン内戦を経て、メキシコに亡命した無神論者ブニュエルの代表作とも言われる。

~登場人物~
・ ワルキューレ("戦死者を選別する者")と呼ばれる鉄の処女、レティシア( シルビア・ピナル) 
・邸宅の主人、エドムンド・ノビレ( エンリケ・ランバル)
・ エドムンドの妻、ルシア・ノビレ( ルシー・カジャルド) 
・ルシアの愛人である大佐、アルバロ( セサル・デル・カンポ) 
・ 医師、カルロス・コンデ( アウグスト・ベネディコ) 
・ 執事、フリオ( クラウディオ・ブルック) 
・ ニューヨークから来た男、レアンドロ・ゴメス( ホセ・バビエラ) 
・異常事態の責任をエドムンドに押し付ける男、ラウル( ティト・フンコ)
・ピアニスト、ブランカ( パトリシア・デ・モレロス )
・ 老指揮者でフリーメイソン、アルベルト・ロック( エンリケ・ガルシア・アルバレス) 
・指揮者の若妻、アリシア・デ・ロック( ジャクリーヌ・アンデレ) 
・フリーメイソン、クリスティアン・ウガルデ( ルイス・ベリスタイン)
・クリスティアンの妻。リタ・ウガルデ( パトリシア・モラン )
・既婚の建築家、エドワルド( ハビエル・マッセ )
・ 初対面の建築家と恋に落ちる若い女性、ベアトリス( オフェリア・モンテスコ) 
・中年女性、フアナ・アビラ( オフェリア・ギルマイン) 
・若い男、フランシスコ・アビラ( ハビエル・ロヤ )
・歌手、シルビア( ロサ・エレナ・ドゥルヘル )
・コンデ医師の末期ガンの患者、エレオノーラ( ベルタ・モス) 
・偏屈な男、セルジオ・ルセル( アントニオ・ブラボ)
・ 中年女性、アナ( ナディア・アロ・オリバ) 
masahitotenma

masahitotenma