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小早川家の秋のmendeのレビュー・感想・評価

小早川家の秋(1961年製作の映画)
4.0
珍しく東宝の制作配給。東宝の俳優が多い。
でもタイトルバックの織物はいつも通りで、衣装も浦野染織研究所。カメラマンも中井朝一だが、いつものローアングルで等間隔で連なる椅子や建物、小さな赤い色のものが配されていて小津らしさにあふれている。
また原節子の結婚(再婚)の話なのかと思ったら、造り酒屋の前当主、中村鴈治郎の話だった。
笠智衆の見上げる火葬場の煙突、カラス、葬送の列など明確に不吉なムードがあってそこがちょっと意外な気がしたが、そこがもっとも印象的だった。

いつもながら衣装が小津らしく、上品ですっきりしていてそこは見ていて楽しかった。司葉子のワンピースもかわいかったが、やはり和服。団扇のひょうたん柄も良い。着物や帯だけでなく、帯結びも貝の口やら角出しやらいろいろ見られる。このころくらいまでは和服を日常的に着ていた俳優も多かったのだろう。特に浪速千栄子や鴈治郎のこなれっぷりはさすが。鴈治郎が一人で着物を着て帯を結ぶシーンがあるが、まったくよどみがない。

鴈治郎が孫と遊ぶシーン(鴈治郎は頭に手ぬぐいをのせて子供は頭にグローブをのせていてかわいい)や、自分をつけてきた店の者にかき氷を食べさせるところなど笑えるシーンも多い。小津は子供を描くのがほんとにうまい。
23年、大晦日。家での映画納め。
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