ドナウ

ブリキの太鼓のドナウのネタバレレビュー・内容・結末

ブリキの太鼓(1979年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ヨーロピアン・エロ・グロ・ナンセンス・ファンタジー・カルトな闇鍋映画。改めて見直すと思いの外コメディ。

成長を止めるというのは“侵略”、太鼓は“マーチ”、ガラスを割る能力は“水晶の夜”…オスカルの個性はまるでナチの擬人化。ナチの公演に映り込むクソ喰らえ!ファッキンシット!オスカルが叩く太鼓の乱れによってワルツに変化する演出がナチを皮肉ると同時に、容易に熱狂し雨が降れば蜘蛛の子散らし掌返す市民…そんな彼らを皮肉っているように見えた。終いにはナチ党員の市民は同性愛や小児性愛者とも描かれる。オスカルの家族関係は仄めかされているけど、恐らくオスカルの父(アルフレート)が妻(アグネス)と愛人(ヤン)の子を実子として育て、更にオスカルと女中(マリア)の子供(クルト)までも実子と思い込んでいる。これはいくら踏み躙られてもポーランドの血は絶やせないと解釈。魚類は“子種”や“妊娠”のメタファーで旺盛な食欲や吐き気はつわり。放火魔の祖父とスカート4枚の祖母は…浮気と貞淑?基本的に自信なしです。

ドイツとポーランドの性質を持つオスカルに言い放つ“我々に観客席はない”その小人のベブラ団長が凛々しく上品で可愛らしくてとても良いですね。皆で音楽を奏でる場面はこの作品のオアシスでした。私見ですがフリークスの役者が好きで、彼らが出ていると嬉しくなってしまいます。差別云々で活躍の場が少なくなっていると思いますが、小人の方々の演じる道化師は愛らしく健常の方には出せない魅力だと思います。
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