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海を飛ぶ夢のアルバートのレビュー・感想・評価

海を飛ぶ夢(2004年製作の映画)
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{過去(2014年11月10日)に書いた感想文。評価点未記。※『最強のふたり』と比較した内容になっています。}

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 『海を飛ぶ夢』は事故で首より下が不随となった主人公のラモンが尊厳死を望むという映画だ。「死を考えたことがあるか?」というメッセージが印象に残る。現在、ラモンの住むスペインを含めほとんどの国で尊厳死は認められていない。もし実行すれば、手を貸した者には自殺幇助罪や嘱託殺人罪が適用される。『最強のふたり』では尊厳死は扱われない 。『海を飛ぶ夢』のラモンと『最強のふたり』のフィリップには大きく2つ違いがあるからだ。
 一つは趣味の違いだ。フィリップは芸術鑑賞という受け身の趣味に楽しみを見出していた。ラモンは事故の前までは世界中を旅していた。アウトドアな人物なのだろう。事故後の現在、ラモンは車椅子に乗ることを嫌っている。理由は「車椅子の生活は失った自由の残骸にすがりつくこと」だから、だそうだ。このことからラモンは自分の足で自由に冒険することを望んでいることがわかる。
 もう一つは介護者の違いだ。『海を飛ぶ夢』のラモンの介護者は親族。自分が深いつながりを感じている人達だ。だからこそ感じる罪悪感も大きい。一方、フィリップの介護者は雇われの身である。フィリップの世話をしている人達は、金をもらってるから介護をしている。フィリップの方も、金を払っているのだから介護するのは当然だと思っている。このような関係では、申し訳ないという気持ちは感じにくい。
 誰かと心の底から仲良くなれば人生に価値を見出せる。だが仲良くなればなるほど、申し訳ないという気持ちを感じてしまう。これは多少なりとも両作品に共通していたことである。
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