方眼

長江哀歌(ちょうこうエレジー)の方眼のレビュー・感想・評価

4.2
2006年”三峡好人”。三峡ダム工事で沈む街、重慶市奉節県を舞台に、配偶者を追って来た二組の顛末を描く。長江を行き交う船の汽笛がサキソフォンのよう。至るところで建設、解体、立ち退き。裸で解体工事、その横で消毒。日雇い、船上生活、借金、土地の富豪。カバンからナイフを出してすぐカットのリズム、世界レベル。義兄の船で裸の男たちが麺の鉢を持って集まってくるとこ、クスクスさせる。しかもゆるキック。「男たちの挽歌」大好きな友人。二組それぞれの結論が違い、背景もダム放水とビル崩壊。急速な近代化、田舎と都市の混在、変化途中の風景は非日常でもあり、幻想が混ざっても違和感がない。これ深読みすると、党批判ととられたときに主人公の幻想と言い張れる演出テクニック。京劇の3人がゲームしてる間合いは、ジャームッシュならカーボーイだし、北野武ならサムライだろう。河のようにゆっくり進む物語ながら、すべての画面に力があり見入る。
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