長江哀歌（ちょうこうエレジー）のシャチ状球体のレビュー・感想・評価

中国・長江。

故郷に帰ってきたら村がダムに沈んでいた男。音信不通の夫を探しにきた女。
二人は交わることなく、同じ町で別々のドラマを紡いでいく。無理にドラマティックな展開にはしていないので、大半の観客ももいつの間にかいずれダムの底に消えゆく街の中の自然な時の流れに身をゆだねることができる。

過ぎて行く時間。変わる景色。変わらない心。
長江に住む人々の風俗や生活、過去と現在。死者を送る船。
爆破解体される古い建物のシーンが何度か出てきて、無常観を全編に渡って提供してくれる詩情溢れる作品。