Cisaraghi

フェスティバル・エクスプレスのCisaraghiのレビュー・感想・評価

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1970年、トロントからカルガリーまで、3ヶ所でコンサートを開催しながらミュージシャンたちが列車で移動するツアーの様子と、後年の関係者のインタビューとを映像に収めたドキュメンタリー。映画の体をなしているとは言い難いし、映像もいいとは言えないけれど、ザ・バンドやジャニス・ジョプリンのライブパフォーマンスなどは大変貴重で、観てよかった。

リックダンコファンとしては、嬉しくてたまらない幼稚園児のようなダンコが、列車の中でフザけて“Ain't No More Cane”を歌う場面は超お宝映像。ダンコとジャニスがくっ付いて座っているところは、机を並べている仲好し幼稚園児か小学1年生みたいに楽しくて楽しくて仕方ないといった様子。遠足かよ。“Ain't No More Cane”はホント楽しい歌でみんな好き、リックダンコも大好きなんだなあ、とよくわかる。どう見ても立派な酔っ払いのダンコだが、ドラッグもやってそう。こんなに楽しくなっちゃうからこの手のものはなかなか止められないのかも…と思ってしまう。この音楽列車がアルコールを燃料として走っていたことが描かれているが、ドラッグ・エクスプレスでもあったのではないか。

『ラストワルツ』ではちゃんと映っていなかったリチャード・マニュエルが歌う様子もここではバッチリ映っていてホッとする。ザ・バンドの演奏は“Slippin’ & Slidin’”“The Weight”“I shall be released ”の3曲だけだけれど、『ラストワルツ』より8年も前なので、若くて元気いっぱいで活力が漲っている感じ。

ザ・バンドとジャニス以外に知っている名前はグレイトフルデッドとバディガイくらいで、それも音楽はあまり聴いたことがない。全体的にはブルースロック多め?ちゃんと歌詞に日本語字幕がついているので、ジャニスの歌ってこんなことを歌っていたのかと知れたのも収穫。

列車のあちこちで自然発生的なジャムセッションが盛り上がる様子を、もっとたくさん映像で見られたらよかったのにと惜しい。ミュージシャンたちが口々にこんなに楽しいフェスはなかったというその音楽交流の楽しさが、映像からはそこまで伝わって来なかった。
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