きゅうげん

オズの魔法使のきゅうげんのレビュー・感想・評価

オズの魔法使(1939年製作の映画)
4.0
テクニカラーを活かしたセット、息をのむマットペインティング、遊び心に満ちた特殊効果など、ミュージカル映画黄金期を支えた存在として、とっても大事な作品です。
原作からの脚色も、映画として収まりのいいものに。
(ただ、ラストでセピアなモノクロ世界に戻ってきて「やっぱり我が家がいちばん!」となるのは、何度観ても納得できねぇ。絶対オズの国の方が楽しいじゃん!!!)

幼い頃ヘビロテしてた『トムとジェリー』もそうですが、二次大戦中にこんな高クオリティのエンタメの生産が可能って……当時のMGMすごすぎますね。戦場が遠く海の向こうとはいえ、超然主義と大戦景気による安定成長ですか……。
ちなみにマンチカンの演者さんたちは、ナチスドイツの迫害を恐れて渡米してきたユダヤ系の方々だとか。
また北の魔女を演じたのは、かのレヴュー界の帝王フローレンツ・ジーグフェルドの奥様ビリー・バーグ。世界恐慌による破産と病死という晩年が有名なキング・オブ・ブロードウェイですが、そんな亡夫の残した莫大な借金を返すためのお仕事だったようです。

アメリカのエンターテイメントの裏には、常に政治と経済と戦争あり、と思わせてくれる舞台裏ですね。