Nana

東京画のNanaのレビュー・感想・評価

東京画(1985年製作の映画)
3.5
ヴィム・ヴェンダースが敬愛する小津安二郎の国を聖地巡礼するドキュメンタリー。
小津安二郎が生きていたのは1960年代までで、このドキュメンタリーは1980年代なので全く違うニッポン。

小津安二郎は失われいくものの寂しさを描いた監督だから、このドキュメンタリーに描かれた80年代の日本を懐かしむ作品なのだろうか。

花見、パチンコ、ローラー族、食品サンプル、テレビ…perfect daysに描かれた東京とはあまりに違う、どちらかと言えばブレードランナー的な東京。

挟まれたインタビューは、やたら取り直しが多く違和感のあった笠智衆と、最初から最後まで小津安二郎ラブだった撮影監督。
ローアングルへのこだわりや、役者に役作りを許さない監督は、めんどくさい監督だったろうな。

しかし、小津安二郎っておじいちゃんのイメージだったけど、60歳で亡くなったってことは晩年でも50代だったのだなあ。
そして笠智衆も30代で老人役だったとは。

作品の最初と最後は東京物語。
デジタル処理される前で、めちゃくちゃ汚い映像。ヴィム・ヴェンダースのお気に入りは尾道のシーンばかりだったようで。

わちゃわちゃした80年代に小津安二郎が生きていたら、どんな作品を残したんだろう?
Nana

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