「強いよな」なんて簡単に言わないで。
もし強く見えるとすれば、弱い僕が傷つかないように偽ってる姿に君が気づいてないってこと。
君も僕も弱いからこうして今、一緒にいるんじゃないの？
僕と君との間の絆なんて目に見えるものじゃないし、それが強いとか弱いとか、太いとか細いとか、誰が判定してくれるの？
少なくとも僕にはそんなものわからない。
夜が好きで、朝が嫌いだった。
朝起きて、隣で微笑んで居てくれる人を知らなかったから。
誰かが誰かを想って何かをするってこと、
たかだか二杯分のコーヒーを淹れるだけでも、
こんなに朝の陽射しを暖かく感じるなんて。
このままずっと、この瞬間を失いたくない。
でも確かなものなんて何もないのも知っている。
君をガッカリさせたくない。
後悔した顔を見るのが怖い。
後悔なんて、って笑うけど、
なんの曇りもない愛なんて、
君も今まで知らないんだろ？
簡単に産まれてきて、そのまま簡単に生きてきた人なんていない。
死ぬ程の苦しみの元に産まれて、気の遠くなる程の苦労を糧に育ち、幾つもの悲しみや苦しみ、挫折を積み重ねて、心で身体で何度も自分を殺しながら、今やっとここに立っている。
それを全部承知で丸ごと抱えて、死に物狂いで抱きしめて欲しい。
…なんて、誰が真顔で頼めると思う？
僕らを苦しめるのは愛。
僕が泣くのは愛のため。
難しい顔をしても、老いても若くても、
上っ面を脱ぎ捨ててしまえばみんな同じ。
なら、絵の具みたいに一緒に混ぜて、
いろんな色になっちゃえばいいのに。
