てる

真昼の決闘のてるのレビュー・感想・評価

真昼の決闘(1952年製作の映画)
3.0

なんと言うか皆冷たくない?
いや、面白くはあったんだけど、果たしてこれでいいのかと思ってしまう。

幸せな結婚式から始まるが、かつての荒くれ者が帰ってくることになり、村の雰囲気が一変する。
復讐されるのが確実にわかっている保安官は新妻に止められるも勇敢に戦うことを決意し、村人からの応援を募る。だが、彼を恐れて保安官に加勢する者は誰もいなかった。

結局は彼と嫁との2人で悪漢たちを退治してしまうわけだけど、なんと言うか物凄く呆気ない。
村人には絶対に勝てないと思われていた保安官は1人でほとんどの悪者をやっつけてしまった。まぁ確かに初老のこのおじさんがそんなに強いとは思わないよね。あと、あんなに恐れられていた悪漢どもがあんなに容易に倒されるとは思わないよね。

いや、すごいとは思うよ。保安官は。でもそれでいいの? 結局この作品のテーマってなんなの? この保安官がカッコいいよねってことでいいの? それとも村人の無慈悲さがいいの?

てっきり、ピンチになった保安官が最後に村人が助けにくるのかと予想してたが、そんな胸熱な展開はなく、スーパーマンな保安官が悪漢どもをバッタバッタ倒していく。

村人たちに問いたい。今後どうするの? いざというときに助けの手を差しのべないことを保安官に見せてしまって、次の保安官はその職を全うしようと思うのかね。少なくとも今回の保安官は村を離れることを決意することだろう。彼らを守ろうとする意思は潰えたはずだ。
散々助けてもらっていたのに、都合が悪くなると扉を閉ざす。なんと言うかなんとも短絡的すぎないだろうか。手前の問題だけしか見えていない。仮に悪漢たちが勝っていたら、村人たちはどうしていたのだろうか。なんとも情けない。

でも、教育が行き届いていないこの時代の村人ってのは、むしろこれがリアルなのだろう。
この時代の閉鎖的な雰囲気はリアルなのかもしれない。

結局、この作品のテーマはなんだったのだろう。勧善懲悪ってことでいいのか? それとも、このモヤモヤする感情が正しいのかな? いやはやなんともなんとも。
てる

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