てる

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章のてるのレビュー・感想・評価

3.5

青春ドラマかと思ったら、SFで、なんだやっぱり青春じゃんと思ったら、サスペンスもあって、なんだか盛りだくさんの作品でした。

宇宙人の船が空を蓋している。そんな異常な環境の中で行われる女子高生の日常を描く物語。でした。そうだと思ったら違ってました。

浅野いにおの作品って内容がエグい。それは『おやすみプンプン』の話しだ。なんだか内容が重くて途中で読む手を止めていたが、その後、凄惨な話しになっているという情報を聞き入れて、続きを読むのを完全に諦めた。
他には『ソラニン』を読んだことはある。『ソラニン』は音楽青春ドラマではあるんだけど、どこかビターで妙に生々しくて、胸の真ん中にどかんと突き刺さるような感じではなく、変な角度からじわじわとくるような作品だった。
彼が描く絵のタッチは可愛らしい。なので、子ども向けのわかりやすくて、穏やかな印象を受ける。だが、実際はそうではない。絵と内容にギャップがあり、私はそれが受け入れがたいのだけど、もはや、悪意があるとさえ感じるのだ。

今回のこの映画もそうだ。真面目な部分とそうでないところではギャップがありすぎる。
それがまたアクセントになっていて、惹き付けられる。前半は正直退屈だった。日常系の作品なのかなと思って、うとうとしてしまったが、後半のあのエピソードは一体なんなのか。今までの緩い雰囲気とは一変し、ハラハラしたり胸が締め付けられるような気持ちにさせられた。『いぬやしき』っぽいよね。

そこで漸く、宇宙人がいて、その宇宙人が地球人に影響を及ぼした。それまでは一体どんな存在なのかまるでわかっていなかった。ただの背景でしかなかった宇宙人が物語に組み込まれてきたのだ。
あのエピソードが今後どのように回収されるのか気になる。あれが過去だったのか、別の次元の話しなのか。次回作も要チェックだ。

それにしても、あのちゃんと幾田りらが上手だった。
正直、アーティストの2人が演じているというだけで倦厭していたけど、全く違和感を感じなかった。
前半と後半では2人の演じているキャラクターは性格が全然違っているのだけど、それもしっかり演じ分けされていた。
確かに、本家本元の声優さんには劣る部分もある。だけど、昨今の声優はどれもこれも似たような声質で似たような芝居をしている。要は個性がないのだ。それは上手くなるからこそ、そうなっていくものなのかもしれない。しかし、私としては物足りないのだ。
そして、この2人は素人が故に強い個性を持っている。それに好感を持てた。
あのちゃんの見る目が変わった。あのちゃんってすごいよね。
てる

てる