ヒノモト

ゴーストワールドのヒノモトのレビュー・感想・評価

ゴーストワールド(2001年製作の映画)
4.7
「クラム」のテリー・ツワイゴフ監督による2001年の作品をブルーレイにて鑑賞。
公開当時、大変影響を受けた作品で、翻訳版の原作コミックも読みました。

親友のイーニドとレベッカが高校を卒業後、進学も卒業も決まらないまま過ごす不毛な毎日の中、新聞の出会い広告に載っていた中年男性シーモアを呼び出し尾行するが、彼の趣味のレコードコレクターを通じて、親交を深めていき、彼の人生に干渉していくお話。

かなり久しぶりの鑑賞でしたが、全く色褪せることのない面白さでした。
非常に苦みのある青春ストーリーであり、他人と異なった価値観と個性の生かし方が分からないことのジレンマが、主人公イーニドの行動や映画の展開そのものに現れていて、物語としては急に行動や言動が変わったり、振り回されることが多く、自分自身の迷いや葛藤がそのまま、この映画のすべてになっている不思議な味わいの作品です。

毎シーンごとに衣装が違うソーラ・バーチの演技の違いが怪演そのもので、対してスティーブ・ブシェーミを筆頭に、男性たちのクセの強さが際立っていて、美男美女だらけの映画とは対極の仕上がりで、コメディとシニカルな描写が混在している悲喜こもごも好みで、今観ても大変面白いです。

そして、ラストのバスのシーンは何度観ても震えるほど切ないです。

唯一スカーレット・ヨハンソンだけが、当時15歳だったようですが、整いすぎてて、ソーラ・バーチとの対比としては良いキャスティングでした。
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