Taka

人間失格のTakaのネタバレレビュー・内容・結末

人間失格(2009年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

気持ち悪くなりながら観た。

 この作品に共感してしまう自分にゾッとする。直したい。
 葉蔵は、お酒を飲んでいる間だけ本当の自分でいられる。良子に惹かれる。でも不幸というのは向こうからやってくる。跳ね返す強さがなければ、抗える気概がなければ平穏は続かない。幸せな生活には常に責任が伴う。
 堀木のように下品で、ときにずるいこともして露悪主義的に生き、細くても筋を通す方が結果的には人間として及第点なのかもしれない。結局は、自分の立ち位置と理想が乖離しすぎないように生きるしかないのだと思う。

中原を鎌倉まで送る途中、トンネルの中で閃光花火が舞うシーンと、ラストの生田斗真の無表情が心に残った。

素晴らしい作品だけど、誰にも勧めたくない。でも、観て良かったと感じた。もし自分に子供ができたら、こんな作品意味わからんって思えるように育って欲しい。できれば観ないで欲しい。

伊勢谷友介さんの演技好きなんだけどな。もったいない。

しかしやっぱり近代純文学が好きだなと再確認できた。劇的な起承転結も、技巧を凝らしたトリックもない、冗長なストーリーだけれど、他にない美しさがある。そういう意味では太宰治はすごく好き。
Taka

Taka