フライ

サラの鍵のフライのレビュー・感想・評価

サラの鍵(2010年製作の映画)
4.2
フランスで実際にあったホロコーストを残酷に演出し、フィクションとして描かれたストーリーは余りにも悲しく、ナチスに加担したフランスの後悔の念と懺悔、同時に同じ誤ちを繰り返さない強い思いを感じたホロコースト作品。

1942年7月パリに4人で暮らすユダヤ人の両親と少女サラ、弟ミシェルの家にフランス警察のユダヤ人一斉検挙が。咄嗟にサラは幼いミシェルを納戸に隠し、鍵をかけ弟は居ないと嘘をつく。3人は数千人のユダヤ人と共に自転車競技場で劣悪な状況で強制収容され、父親はミシェルを連れてこなかったサラを責めるが…。
2009年アメリカ人ジャーナリストのジュリアは、フランス人の夫が昔から住んでいるパリのアパートをリフォームし娘と三人で暮らすため、引越しの準備をするが、そこには昔ユダヤ人家族が住んでいたことを知り足跡を調べた事で、余りにも悲しく残酷な真実を知る事に。

数年前迄フランスでのホロコーストは全く知らなかっただけに、色々な意味で衝撃を受けた作品だが、サラと言う少女を通して見せる残酷なストーリーは、観ていて本当に辛く、悲しかった。
自分達が犯した過ちを認めてこなかったフランスの闇と、そんな恥ずべき行為に皮肉を込めたとも思えるストーリーに、怒りと衝撃、悲しみを覚えたが、何よりこの悲惨な事実に目を向け、忘れてはならない事と、繰り返してはならないと言う強い信念、ラストでは未来に伝え残す気概をサラとジュリアから感じられ、悲しくもあるが、感動出来る素晴らしい映画に思えた。

隠蔽したり歪曲するのではなく、ホロコーストや戦争の残酷な真実に向き合い考える事は、平和な未来を築いて行く事と同じと思えるだけに、観ていてとても辛いシーンも多いが、沢山の人に見て欲しいと思える作品だった。
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