mii

サラの鍵のmiiのレビュー・感想・評価

サラの鍵(2010年製作の映画)
4.1
1942年7月16日 パリでの「ヴェロドローム・ディヴェール大量検挙事件」
フランス警察により 外国から逃れてきたユダヤ人を検挙した事件。
トイレも水もない競輪場で5日間閉じ込められた後 収容所へと送られたという。
タチアナ・ド・ロネ原作「サラの鍵」

突如やって来た警察から逃れるために
サラ·スタジンスキは咄嗟に弟を納戸に隠れさせて鍵をかける。
その鍵を持ったまま 彼女と両親は収容所に送られる。

2009年
その事件を調べている女性記者ジュリアは
夫の実家が サラ達家族が暮らしていた家だと分かる衝撃。
夫の父親から話を聞き 彼女の足跡を追いアメリカからイタリアへと足を運び調査する。

時代が交互に映し出され
1942年の真実と2009年の真相が明らかになっていく。

サラは 自分がした事に責任を感じて
弟を助けようと試みます。
たった9歳の少女の行動力と 一途な愛に
彼女が関わった一部の大人たちは 突き動かされます。

この作品が良かったのは
サラの悲劇や命の尊さが 後世に引き継がれていく所。

愛着のある我が家が そのような場所であったという驚きや
知らなかった先祖の過去を聞かされて
正直 聞きたくなかったという気持ちもあるでしょう。

けれど 有無も言わせぬフランス警察のようなばかりの者でなく
善意で関わった方たちも居たという事。

その当事者でなくとも 彼等に「向き合う」という形に心を打たれました。

ジュリアが抱えていた悩みも
これらの一件で 受け止める事ができた。
そして 「サラ」の名前を頂く事になるのです。
これは 素敵なラストでした。

ジュリアが言った
「あなたなら どうする?」
これは 現代の私たちの生活の中でも 永遠の課題であるようにわたしは思います。
mii

mii