ikumura

ハイヒールのikumuraのレビュー・感想・評価

ハイヒール(1991年製作の映画)
3.5
【失われた母なるものを求めて】
理屈なくアルモドバルの世界は好きだなあと再確認。
大スターの女優・歌手である恋多き母と、
愛情の欠乏と劣等感に悩む娘との葛藤。
古典的なストーリーだし、「あ、なんか他のアルモドバル作品で見たな。。」
というところもあるけど、
この頃すでに確立されてた原色のコントラスト、
不思議な間やゆるーい伏線、
傍観者と当事者がひっきりなしに入れ替わる感じがなんだかクセになる。

偉大なお母さんが美輪明宏に似てるなーと思ってたら美輪明宏にしか見えなくなり。
と思ってたらそのモノマネで売ってるドラッグクイーンも出てきて楽屋で娘と事に及ぶ。

娘の夫は母の元カレ、という気まずい状況で、夫が殺されてしまい、二人に嫌疑が。
裁く者(判事←役割的には刑事のようだったが)も赦す者(神父)も男だが女たちはそれを超えた倫理の世界にいる、というのもアルモドバルらしい。
ボルベールを思い出した。
ただ、その中で判事の立場に捻りがあったのも面白い。
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