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浅草キッドのikumuraのレビュー・感想・評価

浅草キッド(2021年製作の映画)
3.5
たけしがバイク事故で生死を彷徨ってるというニュースも、
渥美清が亡くなって国民栄誉賞を授与されたというニュースも、
祖父母の家のテレビで見たのを鮮明に覚えているんだが、
調べてみたらどちらもちょうど夏休みの頃だった。
なんとなくそこで、その二人を通じて昭和に繋がっていたような、幼い記憶。
昭和がついに終わりつつある頃だった、とも言えるのかも。
(平成二桁くらい以降に生まれた子にとっても、
90年代ってもはや昭和とか思われてそう。。(笑))

タケシに関しては一番強いイメージがそれで、
漫才をYouTubeで見ても早口すぎて分かんないよ、、という感じだったのだが、
このネトフリオリジナル、とても評判が良いので見てみた。
柳楽優弥くんが大泉洋さんとダブル主演というのも惹かれるし。

冒頭で、きよし役、これ突っ込み方ナイツと一緒じゃん、と思いながら見てて、
あとから、そういえば土屋さんがこれに出出るって言ってたな、と思い出した。
伊達に寝付くためにナイツの漫才聞いてません(ヲイ)
でもメガネしてないと気づかないもんですね。
お笑いには疎いもので、ナイツを初めて見て衝撃を受けたのも寄席だったな(名前だけ知ってた)。
フランス座のストリップ劇場(なんせ女の子の裸目当てで来てるお客さんを相手にしなきゃいけない)ほど厳しい空間ではないかもしれないけど、
あの街中の演芸場の空間で磨かれた芸にはやっぱ独特のものがある。

タケシがその最後の弟子になった、「浅草の師匠」深見千三郎のカリスマ性。
まあちょっと大泉洋はそのまま大泉洋というか、
元から落語好きで身につけたあの喋り方だから、水曜どうでしょうから出てきて江戸弁を喋ってるように見えなくもない(笑)
でも深見千三郎も大泉洋と同じ北海道出身なんですね。

普段からボケて笑いを追求しろ、という深見千三郎の姿勢と、
(大阪じゃなくてもそういう人いるんだ、とチラッと思いましたが(笑))
それに応えるタケシ、認める師匠の関係性がやはり良い。
それと同時に、人生のあらゆる側面を笑いにかえていこうという業の深さと哀しさも胸にくるものが。

後半はちょっとベタでお涙頂戴になりすぎたかな。
でも落語でも人情物は好きで、演じ方や見る側の心の状態でも奥行きが変わっていくものだから、
あそこら辺も含めて芸人の生き様を示してくれているんだと思う。

そして言わずもがな、柳楽優弥くんは憑依してましたね。
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