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ベルファストのikumuraのレビュー・感想・評価

ベルファスト(2021年製作の映画)
3.4
なかなか仕事に追われているのと、
世界で起こってることに心が参ってしまい、
時間がないなりに見ているものはあっても
語るべき言葉が自分の中から出てこなくて、
なかなか筆をとる気になれなかった一年・・・
(スマホですけど(笑))

そんな中、今見るべき映画かなと思って映画館に赴いた作品。(去年5月)

アイルランドは文学とか音楽とかで昔から関心があって、
行ったことはないけどずっとどこか身近に感じている国。
北アイルランドという地域はどうしても独立した国としてのアイルランドとの関係で、
紛争の火種、というイメージでどうしても見てしまい、そこがどういう場所なのか、具体的なイメージがなかなかわかず。
でもそんな自分にも紛争をその只中に生きる「普通」の北アイルランド人の視線から
リアルに感じることのできる映画だった。
ケネスブラナーってボンボンの出かと思いきや、労働階級の出なんですね。

主人公一家はカトリックとも仲良くするプロテスタント系労働者階級で、一部の落ちぶれた頭おかしい奴が紛争煽ってる、という描写は、
他の例、たとえば旧ユーゴの民族対立とか見てても、そもそもは憎み合ってたわけじゃない、というのはよく聞くよなあ、と。
ただ、それが監督の子供時代の回顧、であるという点、
自分の出自の正当化なのかもしれないよなあ、という点は注意が必要かもと思った。
「普通の人」が加害者になっていく怖さもあるし、そこら辺はいつも分けられるわけじゃないので。

あと、宗教問題だから日本人には難しい、という感想をよく見るけど、
でも、些細なことで敵味方を分けていがみ合うって日本でもよく見るし、
それって大抵一部の過激な人たちに引っ張られてのものだけど、
何かのきっかけで暴発する怖さ、またいなものは、
むしろ感じておくべきものなのかなー、とも。

まあそれは、その時の自分の考えていたことにも引っ張られた感想で、
登場人物のいい具合のいい加減さ、
特に祖父母との心温まる思い出が物語に奥行きを与えてると感じた。

そしてママが美人。
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