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十九歳の地図のikumuraのレビュー・感想・評価

十九歳の地図(1979年製作の映画)
3.6
住み込みの新聞配達員として生計を立てている予備校生が、
鬱屈したものを、地図上に丁寧に書き込んだバツ印をもとにかける嫌がらせ電話で晴らすだけの日々。

中上健次が好きだった高校時代、故郷を舞台にした壮大な路地サーガとは違う、
こういう話にもなぜか惹かれていた。
大江健三郎も初期はこんな感じかな。

実際映像化されたのを見ると、
「いやいやお前そのマメさを生産的なことにつかえよ(笑)」
と突っ込んだりしてしまうのだが、
時代の空気感含めて、ストーリーがこんななのに、
なんだかいい感じなのだ。
新聞配達の時に流れるジャズも良い。
(中上健次も上京してジャズ喫茶に入り浸っていたはず)

ベッタリ親友みたくなるのでもなくなんとなく心通わせる蟹江敬三の役どころもリアル。
みんな自分が大事だけどなんとなく人懐っこくもある。
「かさぶただらけのマリアさま」沖山秀子も圧倒的な存在感。

タクシー運転手役で突然出てくる小三治師匠にも注目!
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