kuma

スワロウテイルのkumaのレビュー・感想・評価

スワロウテイル(1996年製作の映画)
4.0
これ、本当に邦画ですか?
多国籍入り混じる登場人物とドラッギーで強烈な映像、90年代アニメのような退廃的で鬱っぽい世界観。ミュージックという世界共通の言語を用いている部分も含め、令和に見てもあまり古臭さを感じなかった。
空気感込みで好きな映画だったが、内容は非常に癖が強く駄目な人は駄目だろうし、また、この映画に登場する日本人は拝金主義で差別的思想の強い露悪的な存在として描かれており、その点においても人を選ぶかも知れない。

「円盗」の人々は皆「円」に翻弄されていくが、実際に欲しいのは貨幣ではなくその先の夢や愛、いわば精神的な幸福である。身体を売ったり犯罪に手を染めたりしてでも欲していたものが、偽造紙幣によっていくらでも量産出来るようになったことで相対的に価値が下がり、本当に大切なものの存在に気付いていくという流れが、貨幣経済の本質を見せられているように思った。

三上博史や江口洋介も格好良かったけど、なんと言っても渡部篤郎がいい男過ぎる。なんだあの色気は。
kuma

kuma