まっつん

ランド・オブ・ザ・デッドのまっつんのレビュー・感想・評価

ランド・オブ・ザ・デッド(2005年製作の映画)
4.0
ロメロによる本家本元ゾンビ映画!モダンゾンビのオリジネーターが健在な事を見せつけた本格派ゾンビ映画です。

まず本作はズバリ階級闘争の話だと言って差し支えないと思います。本作で描かれる層はざっくり3つに分かれていて、高級タワーマンションに暮らす富裕層、それ以外の貧困層、そしてゾンビです。富裕層は金に物を言わせて貧困層の人々を使い、ゾンビのいる区域から食べ物を強奪させ、のうのうと暮らしていると。実際にゲーテットコミュニティというもがあって、富裕層は貧困層を見て暮らしたくないのでゲートを築き外界から遮断された環境で暮らす人々がいます。本作は確実にこのゲーテットコミュニティを描いていると言えます。貧困層には貯金をしてて富裕層の仲間入りをしようとする者、このコミュニティ自体から抜け出そうと考えている者などなど様々な人間がいるのですが皆一様に格差に対し不満を感じながら生活をしているわけです。そしてゾンビたちは何もしてないのに食料の強奪ついでに虐殺され続けています。そんな中で元ガソリンスタンド店員のゾンビ、通称"ビッグダディ"は何かおかしいんじゃないか?と思い始めるわけです。

この作品の特筆すべきところはゾンビ達が自分達の力で明確に知性を手に入れていく過程を描いている点です。これまでのロメロの映画でも知性を持つゾンビはちょくちょくいたんですが、今回はゾンビ達が自分達の力で知性を獲得していくわけです。そして彼らには明確に感情が生まれ始めている。今回のゾンビ達が起こすことはハッキリと人間に対する反逆です。ここまでゾンビ達に感情移入してしまう映画も珍しいと思いますね。もう全然泣きますよ笑。富裕層のカス野郎どもなんぞ全員死んでしまえと思いますね。

そしてゾンビの特性を活かしたビックリするような描写をロメロは毎回入れてくるんですが、今回もヤバイのぶち込んで来ました笑。ゾンビは息をしていないから余裕で川は渡れる!とか、なんで首ないのにコイツ動いてんの?→腱で首が繋がっていました→振り子のように首が前に飛んで来てガブリ!!!とかよくこんな面白いこと考えつくなと笑。ゾンビがヘソピアスを食いちぎるとこも言わずもがな爆笑もの。ロメロの凄みはこういうところにあるんだよなぁ。