April01

007/カジノ・ロワイヤルのApril01のレビュー・感想・評価

007/カジノ・ロワイヤル(2006年製作の映画)
4.4
オープニングが全然変わる!最初のモノクロのシークエンスから引き込まれてダニエル・クレイグ演じるボンドは、もろくて隙のある弱さと、荒々しく生々しいむき出しの強さが背中合わせになっている生身の人間であることを前面に出している。
特にそれを感じたのが、洗面所で血を洗い拭う場面。触ったらヌルっとする感覚までもがダイレクトに伝わってくる。
ガールを抱きしめるところは象徴的。彼に弱みが出来てしまった瞬間。このウェットなレオン感がクレイグボンドにずっとつきまとうことになろうとは初見の時は思いもしなかった。

拷問の場面がすごい。丸裸は普通だったら尊厳踏みにじられて哀れ、完全な負けの逃げ場亡き屈辱。それを逆手にとって、その無防備さ、無力さを、ボンドの尋常でない精神的な強さへとスゴイ力で反転させている。あの状態にしたからこそ理解できる強さであり、あの仕掛けにより受けた心理的衝撃で揺さぶられる強烈な感情を上手く表現できない。これまでのボンド像ではありえない描き方。

あのテーブルで勝負した人たち、フェリックス・ライターは当然としても、他の人たちの細かいキャラ設定と表情が良い。ドリンクオーダーして流れ変えたいボンドに対しそれぞれが、あ、自分もみたいにオーダーに乗るところと少し細かくオーダー変える自己主張感じるし、ゲーム終盤の重要どころで日本人設定と思われるフクツがオールイン600万でいきなり存在感出してくるとか。

久しぶりに再見して緊急事態宣言も解除されたから、サっと一杯だけ飲もうかなとウォッカ・マティーニをオーダーしたら、Lilletあるから作れるよ!と言われてついでに忘れられない味ヴェスパーも🍸
April01

April01