April01

ポップスが最高に輝いた夜のApril01のレビュー・感想・評価

ポップスが最高に輝いた夜(2024年製作の映画)
4.1
一応洋楽オタクとして青春の1ページに刻まれてる世代。
でもこのチャリティーの流れには没入しなかったな~と改めて記憶を探る。
ついでにバンドエイドのドキュメンタリーを先に見て時系列はっきりさせたり、でむしろUKの方はわりと記憶と一致してて細かい人間関係のあれこチェックしながら、あちらは普通に懐かしいな、で終わった
ところがこちらは!自分が特に追いかけてなくて無知だっただけかもしれないけれど、上辺の美しさと内情にこんだけ差があるなんて!ドキュメンタリー冥利に尽きるというか、正直おもしれ~!って感じ。

有名なシンディのアクセのガチャガギャ雑音やらかしが面白くて和気藹々のチャリティーソングの陽のイメージでずっと記憶の片隅にあったから、そんなイメージがガラガラ覆される。
レコーディング中の、不穏なあれこれの連続が面白くて、改めて当時のメンツのキャリアとか調べまくって興味深い時間を過ごした。

ハリー・ベラフォンテの
黒人を救う白人はいるが
黒人を救う黒人はいない
との提案から始まった本企画、ボブ・ゲルドフ版との違いを出したくて、最初は黒人プロジェクトだった、というのが重要。
そんなわけで最初のメンバーは
ライオネル・リッチー
マイケル・ジャクソン
クインシー・ジョーンズ
スティービー・ワンダー

Harry said “we have white folks saving black folks.”
“We don’t have black folks saving black folks.”

音楽マネージヤーとして主要な役割を果たした
Ken Kragen
I said to belafonte, “We oughtn’t, just limit to this to the black artists.”
He said “sure. That’s a good idea.”


以下ほとんど自分用メモ:

スティービーがいきなり意味不明な言語で歌い出して、何?!ってなってスワヒリ語の歌詞入れるべきとかなんとか。空気悪くなりすぎて笑う。
メンバーが覚えようとまでししてるとか、力関係が見えすぎて怖くさえなる。それだけ彼の才能にみんな一目置いて逆らえない空気。
これって組織あるあるの、上司の思いつき企画に振り回されるってヤツ。
このレベルのアーティスト間でもこんなアホなことまかり通るんだな~って半ば呆れる。
でもそこはさすがアメリカン、しかも一流アーティストだわ、そんなんやってられるかって、スワヒリ語なんか知らんわって帰っちゃったのがウェイロン・ジェニングス!本物だね!
つまり他のメンツは我慢強いと言うか比較的優等生なんだよね、そういう人選だったということもよくわかる。
プリンス参加しなくて正解。
この輪の中で良い子してシレっと歌ってるプリンスなんか見たくない!彼の判断は正しかった。
で、マドンナも呼ばれなくて良かった。イメージ合わないもんね。

エチオピアではスワヒリ語なんか話さないよって誰かの文句も入るし。
てか時間に追われてカリカリしてたクインシーがスティービーの肩持って、なぜこの提案に乗ったのか不思議。拒否しろよって感じなんだけど。そういう力関係だったのかなと邪推できてしまう。

で、ボブ・ゲルドフ介入
There ‘s no point in talking to the people who are starving, we’re talking to the people who’ve got the money to give.

Quincy
But what words do we use?

Bob
i don’t know…


で空気悪くてワサワサしてるとこにいきなりマイケルのsha-lin-gen
we are the world ’sha-lin-gen’🤣

Robinson
口挟む
I’m one of the few people who’d say anything to Michael, doesn’t make sense.


ダイアナがダリルにファンだからサインちょうだいと言ってみんなサイン交換始めていい雰囲気。
シーラはプリンスに電話して楽しいから来て、と。
プリンスとライオネルは電話で話した。
プリンスは別室でギターソロをやりたいと言った
ライオネルは、同じ部屋で一緒にやらなきゃダメ来て、歌ってと言った。

シーラはソロパートやりたい。
でもプリンスはまだかと言われるだけ。
プリンスを呼び出すために引き留められ利用されている気がした。
and I just started feeling like, “I feel like I’m being used, to be here, because they want prince to show up, and they longer keep me, maybe prince will show up,.”

プリンスが来ないのはわかってた、人が多すぎてuncomfortable
シーラEの傷つき度はよくわかる。
They never intended on having me sing a verse,
which was a little bit heartbreaking

プリンスがやるはずだったパートがヒューイ・ルイスに。

ソロパート録音開始時のスティービーの緊張ほぐしのわざと間違い、本気で怒鳴るクィンシー、みんなフリーズの空気、おどけるスティービー、一連のシーンが見ごたえある。

カメラマンWooさんが面白すぎる!
ポール・サイモンのファンだとか言って、ケニー・ロジャースが高音出す時、こんな風にって真似するとこ。
squeezes his face up
爆笑🤣
最後のオチが請求書持って行ったらボランティアえ!?でも最高だった!というのはホノボノ。

その他色々緊迫の場面あった。

ディオンヌの時のテクニカルプロブラム発生のテンション。

アル・ジャロウが酔っ払い!進まない!空気が凍る感じ!冷たい視線を直接送らず下を向いてみんな怒ってる感じ!やばーい!って感じ!いたたまれない。

この感じは、ボブ・ディランのソロレコで、どう歌っていいかわからない場面と似てる。
この時は怒りじゃなくて、ウワーどうすんの?っていう言葉にならない周囲のいたたまれなさ。
相手が大御所ディランじゃ誰も何にも言えない。
そもそもなんでディランをこの状況においてる?っていう主催者に対する怒りが、あの場にいたアーティストみんなの共通認識だったと思う。誰も言葉にしてないけど。

疲れ切ってたけどディランの為に一旦みんな外に出てライオネル、クインシー、スティービー関係者のみにして全員追い出してレコーディングしたのは当たり前だった。
気の毒なディラン。だけど文句を言うでもなく全員でコーラスの場面では歌い方わからないのに、ちゃんとその場にいて一応モゾモゾ小言みたいに口は動かし、歌ってないのは明らかなんだけどあの場に居続けた、あのディランという大物。他のアーティストとは違う意味で凄いなと思った。自分だったら泣いてたかも。いたたまれなくて。
有名な方だし曲もそこそこ耳に残っているけどなにせ彼の全盛期を知らないし、あまり反戦とかフォークとか、食いつくタイプでない自分にはビンと来なかったまま今に至ってるんだけど。
本作見て本来の評価とは別の意味で只者じゃねーわ!!!って思った!

最後のクィンシーの言葉に黒人プロジェクト→白人ミックスプロジェクトとして完遂した満足感に溢れている。
I remember Quincy saying like, “man, those white boys really brought it.”

あの白人連中はすごかった、とね。
ヤツら白人達、本当にやってくれたな、てなもんで。やっぱり人種間のテンションってこのレベルでもアリアリなんだよな~と思ったし、商業レベルで見える部分にそれを出さないでピースとかワールドとか耳障りの良いフレーズで覆い隠すのは、お手の物って感じ。

ダイアナ・ロスが最後まで残って、アーティスト達がはけていく中、終わって欲しくない、と泣いて、寂しい、ずっとこれが続いて欲しかったと言ったのは、トップアーティスト黒人と白人の奇跡のユニゾンが終わる。
日本的に喩えれば

つわものどもが夢の跡

の心境かな。

黒縁メガネのダン・エイクロイド、あまり映らないのに、ちょっと映るだけで異色な感じで目立ってる😁
April01

April01