監督の後年の脚本仕事に繋がる『調子づいた子供の反逆コメディ』なのは共感しにくいものの、
シニカルな客観性がエンタメに繋がっており、予想の先を行くトリッキーな展開は軽妙。
ハッとするような構図のカット、かなり大掛かりなミュージカルシーン、そしてカップルのラブストーリーに収束しない人物配置などなど、
随所にアイディアと才気が漲っている。
主人公フェリスの部屋に貼られたポスターがキャバレー・ボルテール、キリング・ジョーク、フレッシュ・フォー・ルルと、
UK勢ばかりなのも面白い。
『トーチソング・トリロジー』での好演が印象に残っていたマシュー・ブロデリックが、
グザヴィエ・ドランのプロトタイプだったのも、ひとつの発見。