“行け”とジョニー・キャッシュが言ったから。旅に出る理由はそれだけで十分。
革ジャン。車。コーヒー。煙草。旅の荷物はそれだけで十分。
我らがアイドル、ぜんまいを巻き忘れたゲイリー・オールドマンの如きマッティ・ペロンパー&マト・ヴァルトネンによる至福のロードムービー!!
墨を擦り込んだ革靴のように、長年着込んだレザージャケットのように鈍く光るモノクロの映像。毎度の如く男たちは語らない。女は写真を撮る。映画に相応しい音楽さえあれば、台詞なんて要らない。
冒頭、自動車修理工であるレイノ(ペロンパー)が、調子の出ない車のボンネットから取り外して投げ捨てた二つの部品。それを取り戻すかのように出会う二人の女性。こんなにシンプルで完璧な映画があって良いのか。
一年の最後に観る映画は、大好きな映画でなくちゃね。流行やしがらみに囚われない、楔のような映画。これからもずっと何回も観るんだろう。
最高に「ハイ!」ってやつだ。