ピッツア橋本

タレンタイム〜優しい歌のピッツア橋本のレビュー・感想・評価

タレンタイム〜優しい歌(2009年製作の映画)
5.0
"神様。僕たちの歌と声が天まで届きますように"

マレーシアのとある町の、主に3つの家族の生活が濃密に交差する青春群像劇。

タレンタイム(おそらくtalent×timeの造語)という校内選抜の学芸会的な催しに各々の生徒が得意のパフォーマンスを引っ提げてコンテストに参加する。

ギター両手に陽気に独創的なを披露をし、学年成績トップの男の子は病床の母に毎日かかさずお見舞いをしている。

予選コンテストで、
ピアノの弾き語りをする女の子は多国籍な大家族の中で愛と小競り合いの日々を送る。

2人のクラスメイトであり、バイクでその女子の送り迎えを任される無口な青年は、最近結婚したばかりの叔父が式の当日に隣の異教徒に喧嘩をふっかけられ撲殺される。
でも母の悲鳴は残念ながら、生まれつき聴覚を持たない彼には届かない。

バイク青年はピアノ女子の演奏を聴いても本当はメロディも歌声も何もわからないのだけれど、
今まで感じたことのない胸の高鳴りを静かに感じ始めていた…
そしてギター少年のメロディは実は密かに恋してるピアノ女子に向けたものでもあった…

極めて純度の高い、ボーイミーツガールな恋愛模様、家族愛、出会いと別れなどのヒューマンドラマが濃厚に一つの大河のように流れてつながっていく。

初めて意識してマレーシア映画というものを観たが、日常会話(セリフ)が英語と現地語がハイブリッドに混ざった会話で驚いた。
宗教観もそうだけど、スラングの使い方や関心理解、言葉のチョイスがとても興味深いし、
その混ざり具合が本当に独特の情感やテンポをもたらしていた。

ハリウッドとも他のアジア映画とも違う音楽パートの響きと感動があって、とても素晴らしかった。

ドラマパートもすごくしっかりしてるんだけど、このコンテストの音楽シーンの演奏の数々がどれも素晴らしくて愛おしい。

今まで観た中で最も可憐で無垢な映画だと感じた。まさにオールタイムベスト。
この映画が1人でも多くの人に永遠に届き続ける事を神に祈ります。
ピッツア橋本

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