うにたべたい

帰ってきたウルトラマン 次郎くん怪獣にのるのうにたべたいのレビュー・感想・評価

3.4
劇場版帰ってきたウルトラマン三作目。
上原正三監督の、新マンでも特に有名怪獣登場回(グドン/ツインテール回、シーモンス/シーゴラス回)と違い、マイナー怪獣と言えるヤドカリン回のブローアップ版です。
前の二作と違って前後編の再編集ではなくブローアップ版で、尺も比較的短いです。
新マン劇場版は『東宝チャンピオンまつり』で上映されたのですが、本作と同時上映で同じ円谷プロのミラーマンがあったためのようです。

元作品は第29話『次郎くん 怪獣に乗る』です。
子どもたち、とりわけタイトルにもある新マンレギュラーの坂田次郎くんがメインのストーリーで、書籍では"低年齢層でもわかりやすい作品が選ばれたのではないか"という旨の推察が書いてます。
ヤドカリンという宇宙怪獣がMATの宇宙ステーションNo.5に取り付き、そうと知らない次郎くんが宇宙ステーションに入って出られなくなってしまう。
怪獣の背中に閉じ込められた形になった次郎くんを救出しつつ怪獣退治を行うという展開で、選出想定の通り、子供向けに楽しめる作品です。
ヤドカリンも名前の通り、宇宙ステーションをヤドカリのように背負って動く怪獣なのですが、コミカルで印象に残りやすい造形をしています。

ただ、子供向けにはわかりやすくていい面もあるのですが、今見るとシナリオの粗が気になります。
本作で郷秀樹は、次郎くんの家にあった寄せ木がどうしても開けられず、仕事場に持ち込み、あまつさえ忘れていってしまいます。
その寄せ木は次郎の友達の大事な寄せ木でトラブルになるという、郷の不手際が目立つストーリーでした。
寄せ木は最終的に次郎の友達の手に戻るのですが、大事な寄せ木を無くされた挙げ句、インコまでいなくなってしまった友達は不憫でなりませんでした。
でもこの子も客観的に見て意地悪な感じがあるんですよね。
そんなわけで、なんとなくモヤモヤの残る一話でした。