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マジェスティックのblacknessfallのレビュー・感想・評価

マジェスティック(1974年製作の映画)
3.5
【チャールズ・ブロンソン生誕100周年記念】から録画。

この映画の話をすると信じてもらえないことがある。スイカ畑の農場主が暗黒街でその名を轟かす殺し屋にスイカ🍉の収穫を邪魔され、殺し屋と決闘するというちょっとシュールなストーリーだから無理もないんだけど笑

何で本来出会うはずもない、または出会ったとしてもタマの取り合いになるはずもない二人が戦うことになるのかのストーリー展開が巧みなんで未見の方はそこを楽しんでほしい。
何回か観てるけどよくこんな意外性のある話をスマートに必然性を加味して展開さてるなと思ったら、脚本がエルモア・レナードだった。初めて気づいたよ。
レナードはパルプ小説の名手で洒脱な会話と先の読めないスリリングな小説の名手。
タランティーノも崇拝してる人なんで、これもタラの映画のようなオフビートな雰囲気があって味わい深い。監督のフライシャーの硬質でソリッドなカメラワークもあり終わってみれば他愛ない話なんだけど興味が途切れない。

アメリカン・ニューシネマ期の映画は意外とこういう変な設定とストーリーが多い。闘鶏に勝つまで話すことを止めた男が主人公の『コックファイター』とか貨物線の無賃乗車にプライドかける季節労働者が主役の『北国の帝王』とか笑
社会の底辺周辺の男達が「何故?それに!?」みたいなことに自分の存在をかけて戦う。選ばれた者ではない市井の男達のプライドを讃える。50年代のハリウッドが量産した選ばれた者達の物語へのアンチテーゼ。体制の規範やモラルより自身の内にある行動規範を優先して行動する。
どんなにスケールが小さくても自由意思を貫こうとする人の話は胸を打つんだよ、それが他愛ない娯楽映画であっても。

あと、この時代の特徴として厳つい顔した強面の俳優が主演の映画がすごく多い。ブロンソンなんてまさにそれだし、苦みばしった男の色気があると言われてるけど、ちょっとアクが強くて渋すぎない?って思う笑 リー・マーヴィンにオーレン・ウォーツなんかも厳つくて渋いけど男汁が濃厚で今の感覚ではかっこいいて範疇には入らないよね。アーネスト・ボーグナイン至っては個性的な強面過ぎてクリチャー感さえあるし。
この辺の俳優達に女性ファンがいたのか気になる?アーネスト・ボーグナイン以外は映画の中ではモテてるけど実際どうなのか?と笑

今の映画では味わえない幾多の要素があるこの時期のアメリカ映画、観る価値は十分にある。
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