いの

マッチ工場の少女のいののレビュー・感想・評価

マッチ工場の少女(1990年製作の映画)
3.8
「マッチ工場の少女」という、これしかない!と言い切ってしまえるタイトル。DISCASでレンタルしたDVDは「罪と罰」との2本立て。しかもその2作も、これしかない!と言い切ってしまえるカップリングで素晴らしい。カウリスマキによる少女版“罪と罰”


フィンランド。聖なる日までの話。玄関のドアは、もうちゃんと閉まることはないような貧相な有り様で、そのドアが映し出されるたびに、やるせない気持ちになる。殺鼠剤といえばキム・ギヨン、「下女」なら階段を登ったり降りたりするけれども、カウリスマキの今作は、階段の昇降なく貧富の差も物語る。冒頭のマッチ工場でのマッチ製造過程の映像は、初めてお目にかかる工程でわくわくしたが(お仕事拝見大好きです)、肝心の擦る部分(頭薬というのですってね)の製造過程が映し出されないのはちょっと残念。主人公イリスには、ほとんど台詞がない。でもその分は音楽がやってくれるし、音楽の使い方がカウリスマキやなぁって、これまで1作しか観てこなかったのに、なぜか知ったかぶりしてそう思ったりする。イリスが饒舌だったのは手紙を(心の声として)読み上げてる場面で、その場面から、彼女は色んなコトよくわかってるってことがわかる。イリスがお兄さんのところを訪れた際、お兄さんが出してくれる食事が圧巻でw、スライスしたトマトを、(トーストもしてなくてバターもぬってない)食パンにのっけてるだけ。これ、デンジ君だったらよろこぶのだろうかと考えてしまった。
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