Kuri

甘い生活のKuriのレビュー・感想・評価

甘い生活(1959年製作の映画)
3.8
"8 1/2"が面白かったので、続けて。
有無を言わせぬ名作ってイメージですが、モノクロで3時間にはなかなか手が出しにくかったのです。

50年代後半のイタリアで華やかな生活を送る作家崩れの記者の日々を淡々と重ねていくのですが、それでちゃんと3時間見せられるのがなにより凄い。
しかも55年前の作品なのに、問題意識が今でも理解できるなんて。

画面に映っている人物のほとんどはもうこの世にはいないと思うと、観ながらときおり不思議な気分になります。

いくつかのエピソードのなかでも、
外からは理想的な人物が道を静かに外れてしまうことにはグラっときたし、
なによりもラストシーン。
もう今はないけれど、夜通し遊んで駅に向かう道すがらに天使を観たような気分になる瞬間があったなって思いました。

エピソードを連ねながら、爆発しそうでしない閉塞感を充満させていく感じはアルトマン監督"ナッシュビル"のことを思い出したり。
それでいてロマンチックに閉めるところがなんとも素敵で、だから名作の座に収まっているんだなと実感しました。
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