Fitzcarraldo

ニューオーリンズ・トライアルのFitzcarraldoのレビュー・感想・評価

2.0
John Grisham(ジョン・グリシャム)の"The Runaway Jury"『陪審評決』を原作にしたゲイリー・フレダー監督作。

アメリカでの裁判を取り扱った映画において陪審員をひとりひとり選出するシーンは初めてなのでは…と思うくらい既視感がない。その点は非常に新鮮であったし、新しい知見となったが実際にあのように陪審員を決めているのだろうか?

法廷の中で公開面接みたいにして決めるの?プライベートなことを根掘り葉掘り聞かれて、みんなの前で答えてなきゃいけないの?しかも、その場で原告と被告の弁護士から陪審員として受け入れるかどうか即答される…えっ向こうに選択肢あるの?こっちやろ?どういうこと?あれは公開オーディションってこと?先ずは目ぼしい人を遍く集めて、そこから両陣営の弁護士を交えてオーディションで決めていくってことでいいのかな…?分からないのは、片方が受け入れて、片方が断ったら?その場所は落選ってことなのかな?その描写がなかったから分からん…

アメリカ国内では当たり前なのかもしれないから、細かく描写する必要ないのかもしれないが、異国な上に日本での陪審員制度すら理解してない男からしたら…ちと気になる。まさか日本で公開オーディション方式は取ってないよね…

陪審コンサルタントなる職業があるのも驚きだし、アメリカでは既に確立されて市民権を得てるようは感じなのも何やら恐ろしい。

しかしだね…銃乱射事件をネタにして遊ばないで欲しかったというのが正直な感想…。

これは未だに絶えることのないアメリカに纏わる根が深い深い重大な問題にも関わらず、メインではなく付け合わせ扱いにしていることが…本質は…そっちじゃないでしょ!でもラストは絡めてきたりして…なんかこの問題は裏でゴチョゴチョするんじゃなくて、がっぷりおつで組み合って見事寄り切るところが見たい!

だから裏側の駆け引きなんてあんま見たくないんだよな…この案件だと…もともと原作はタバコ会社のようだから、それなら思う存分に裏で遊べてからそのままにすれば良かったのに…大人の事情ってやつで変更を余儀なくされた。

"The Insider"(1999)でタバコ産業の不正を先に題材にされたから変更したよう…別にタイムラグあるし、同じ題材なんて腐るほどあるから、そのままやればよかったのに。ヒトラーなんて何回擦られてんのよ⁈

変更したことにより、辻褄がズレていったのだろう…ツッコミどころは満載。

先ず…陪審員が勤務しているスーパーを買収したからキミを出世させると話を持ち掛けているのだが…まるまる買収って…ニューオリンズだからバカ高くはないんだろうけど…それなら直接本人に金払えば⁈正義の線引きがね…よく分からないんです。買収して出世させるのはOKで、本人に直接金渡すのはNG…もう一緒じゃね?

銃業界のドン達には、1度前例を作ったら過去の銃被害者が皆んな訴えてくる、だからケチらないで追加で金出せと凄んだジーン・ハックマン…

それなら…レイチェル・ワイズの要求している1000万ドルなんて安いんじゃないの?銃業界からしたら余裕で払えそうな気がするけど…すぐ払えばお終いじゃん。

ジョン・キューザックの部屋に2度も侵入して荒らすだけ荒らして放火するようなヤツらが、荒くれ者がだよ、ラスト近くでようやくレイチェル・ワイズの過去を突き止めて母親の元まで辿り着く…あーこれで母親を人質に取られて…と思ったら、普通に不動産を買いに来た一般人を装って家に上がり込んで、あーこれで首絞められて殴られて大変!とドキドキしてたら普通にお茶飲んで娘の話を親身に聞いてる良いやつに。しかも、事情説明もしないでその男はジーンハックマンからの電話で今は話せない!って切っちゃうし…なんで?話せよ!ジーンハックマンも待てずに送金しちゃうし…しかも律儀に1500万ドル…陪審の確約もないのに。よくあるパターンでは半額だけを前金で振り込んで、判決が出た後に残りを払うかどうかってやるのに…なんなのこのポンコツ集団は!送金の後に、お茶の男が「払うな」って…いやいやお前が母親を人質に取ったからとジーンハックマンに電話すれば終わってた話だよ!

やはや銃乱射事件をネタにして遊ばないで欲しかった。
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