ハター

東京物語のハターのレビュー・感想・評価

東京物語(1953年製作の映画)
4.8
本当に、いち個人としての感想です。
まず、なんだか懐かしいなぁなどとしみじみ感じながら観た映画なんて今迄にあっただろうかと今、書きながら思い返しています。映画を見たにも関わらず、いつものそれと同様の感覚かというと、少し違うのです。まるで、同じ屋根の下でその光景を眺めていたかのよう、もしくは、兄弟か親戚を伝にこんな事があったのよ、と語られてるかのような。ただいつものように映画をみたはずなんですが。
小津安二郎の作品は初見でした。おこがましくも、戦後まもなく公開されたこの作品は、日本がこれから行く道を予期していたのかとも考えてしまいました。その後、経済大国となっていく日本、大事な物を失いつつある姿がここにあるかのような。そう感じた中で、凛とした姿の原節子はとにかく美しい。
襤褸は着てても心は錦。心の貧しさほど悲しいものはないので、いつまでも忘れずにいたいですね。
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