ハター

フォックスキャッチャーのハターのレビュー・感想・評価

フォックスキャッチャー(2014年製作の映画)
4.0
実に濃密!な映画でした。
齢60のボンボンおぼっちゃんの道楽は金メダリストを飼う!という事で、まず映画的にとても面白い内容ですし、また実話が基という点がより一層興味をそそります。
金メダリスト兄弟を演じたマーク・ラファロとチャニング・テイタム。スパーリングの迫力、歩き方から細かい仕草まで、まさにレスリング選手でした。あと、耳がちゃんと餃子耳になってたのもグッド。ジョン・デュポンを演じたスティーブ・カレルの圧倒的な表現力にも拍手を贈りたい。
この映画、コミカルなタッチは皆無でどちらかと言うと陰鬱な気が色濃く出ているわけですが、ある点で笑いとも言えぬ怪しさを感じる所がありましたね。去年公開だった『アデル、ブルーは熱い色』で、肌がこすれ合う音と至近距離のカメラによる素晴らしい官能シーンがありましたが、それを彷彿とさせる...いや、彷彿とさせたのはたまたまですが、ともかく頻発する男と男の激しい絡み合い。鍛え上げられた体をぶつけ合う様は当然、スパーリングと見受けるのが普通ではありますが、いかんせんキャラがね...。金でモノ言わす道楽倒錯おじさんに頭が上がらないマーク。次第に飼い犬のごとく従順になってゆく様子が、ムムムまさかこれは...って感じです。
単刀直入に言うと、この映画はお金って怖いなーと思わせてくれます。しかしこういった事件が実際にあった事を映画として世に出したのは、少なからず国に対する訴えでもあったのではないでしょうか。スポーツや文化の道を志す人間の夢、希望を大切にしよう!って思わせてくれるけど、どこかヘンな映画でした。
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