ハター

寄生獣のハターのレビュー・感想・評価

寄生獣(2014年製作の映画)
4.5
まず最初に、私は学生時代にこの漫画を知り、非常に多くのジャンル要素を備えたサイエンス・フィクションの世界観に惹き込まれ、以後何度も読み返している類いの人間です。
期待を胸に見る映画は言わば軽くギャンブルでして、過去の当たり&外れの観賞作品を天秤にかけると、間違いなく”当たり”の皿が宙に浮きます。さあ、本作はどちらの皿に乗せるか。いや、悩む事などありませんでした。私はこれを”当たり”の皿に乗せましょう!んーこんなに楽しんでしまうとは。天晴れな仕上がり。

ごく普通の男子学生、泉真一は寄生獣によって徐々に人間らしさを失っていく。しっかり者で気立てが良く、真一の何処と無い変化を察知して身を案ずる里美。陰と陽の性格があるキャラクターを体現した染谷翔太と橋本愛はまさに適役ですね。また、序盤のミソである真一の母親役の余貴美子、寄生獣と言えば田宮良子という読者もいる程にプレッシャーが大きい役を演じるのは深津絵里。いやー良いです良いです。アンビエンスを楽しむに値するキャスティング、ナイスでした。ミギーのイメージも生きてますし、VFXを用いたアクションシーンは見応え抜群!山崎貴監督、抜かりない仕事っぷりです。

日本漫画史に名を残すこの作品を映画化するにあたって内容は練りに練られたはずであり、小説ならまだしも漫画は元々画でイメージが出来上がっているので何かと難しいと思います。映像化するにあたり加わる脚色は映画化作品を楽しむ要素の一つ。漫画の内容とは異なる演出が訪れると「お、そうきたかー」と、いちいち胸躍りました。「そこ、そうしちゃうかー」というシーンもありましたが、それはご愛嬌。見事な出来映えでした。原作への愛を感じる秀作!
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