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処刑教室のsayaのレビュー・感想・評価

処刑教室(1982年製作の映画)
3.8
校内暴力で荒廃した高校に、中途採用で赴任してきた音楽教師が、不良グループに真っ向から立ち向かったせいで、エスカレートした嫌がらせが殺し合いにまで発展してしまうアクション映画です。
いかにもホラーな邦題から、バイオレンス全開の豪快な復讐劇を予想していたのですが、実話を基にした社会派の人間ドラマがメインでした。
教職にブランクがあって、暴力的な学校での勤務経験もない主人公が、校内を巡回するだけでも無茶をしそうでハラハラします。
不良のボスは、少年法を逆手に取った犯罪や教師への挑発を繰り返すのに対し、主人公が馬鹿正直に相手してしまうせいで、主人公の立場がどんどん悪くなっていく展開はフラストレーションが溜まりました。
不良からコカインを買う生徒も悪いはずなのですが、コカインを売った不良たちだけを目の敵にするのはよく分かりません。
生徒を無理やりコカイン中毒にしたとか、コカインと偽ってヤバイ紛い物を売ったとかなら話も分かるのですが。
何の証拠もないのに不良たちを犯人扱いして、校長や警察が対応しないことに憤るのも意味不明でした。
法治国家なのですから、証拠を掴むなり、捏造するなりして、『悪の経典』のようにスマートに解決すればいいだけの話ですよ。
お互いに直接は手を出せない現実的なドラマがじっくり描かれるからこそ、怒りが完全に爆発する終盤の暴力描写は凄まじい興奮でした。
アクション映画としては主人公があまり強くないのもリアルでしたね。
熱血教師の実話なので、冒頭は『スクールウォーズ』の雰囲気も感じたのですが、結果として不良たちが誰ひとりとして更生しないのも清々しいです。
不良のボスが、主人公の前でピアノの才能を意味もなく見せつける演出は、思春期の複雑な感情が垣間見えて好きでした。
『ファイト・クラブ』のような手口を思いつくのも賢いですし、「人生は苦痛であり、苦痛こそ全て」という中二病まっさかりな台詞も素晴らしいです。
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