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影なき淫獣のsayaのレビュー・感想・評価

影なき淫獣(1973年製作の映画)
2.8
殺害した女子大生を凌辱する猟奇連続殺人事件が起きたこともあって、街を離れて田舎の別荘で過ごしていた女子大生たちが、追跡してきた犯人に命を狙われるジャッロ映画です。
犯人から気づかれないように、ヒロインが必死に身を隠す終盤の密室劇は、スリルもあって最高なのですが、犯罪ミステリーとしての展開も、ホラーとしての演出も地味すぎる内容でした。
ジャッロ映画は、犯人探しより過激な残酷描写や性描写に重点を置くそうですが、性描写は及第点としても残酷描写の迫力が全然なくて物足りなかったです。
全く強そうに見えない殺人鬼なのに、被害者たちが簡単に殺されすぎですし、殺害方法もあっさりしてました。
後半で一番盛り上がりそうな殺害シーンを省略してしまう大胆な演出にもビックリですよ。
死体の目玉を潰したり、ノコギリで切り刻んだりする描写はあるのですが、生きている人間相手じゃないと反応がなくて楽しくないです。
犯人を予想しようにも、キャラクターに個性も魅力もないせいで、登場人物の顔と名前が全く印象に残りません。
いかにも怪しい男性たちの風貌や雰囲気が似すぎていて、前半は見分けもつかなくて混乱しました。
女子大生たちも似たような性格なので、だれがヒロインなのか後半まで分かりません。
親しい友人たちが殺されて、顔見知りの犯行も疑っている状況で、人けのない田舎の別荘にわざわざ向かう展開も謎すぎます。
ミスリードを狙って、登場人物たちが露骨に怪しい行動ばかりするせいで、話の流れも非常に不自然でした。
犯人のスカーフと似たようなものを所持している演出は良いとしても、犯人でもない人物の部屋に目のつぶれた人形が置いてあるのは意味が分かりません。
犯人の回想シーンを繰り返し挿入して期待を煽った割には、過去のトラウマや犯行動機が平凡すぎるのもガッカリしました。
物語に探偵役がひとりもおらず、犯人が自ら犯行動機をべらべら喋りだすのも萎えます。
ヒロインがドジなうえに要領も悪くて、自ら危険を招いて最後まで全く活躍しないのも残念でした。
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