ごろちん

河のごろちんのレビュー・感想・評価

(1997年製作の映画)
4.0
ひさびさの鬱映画…。
首の付け根に違和感を覚えて頻りに首を回すシャオカンみたいに、観ている側にも据わりの悪さを感じさせる。

リアルな話で言えば、一回くらい汚染された河の水を仮に飲んだところで神経系麻痺になるのは有り得ないけど、この世の中、原因が分からない奇病はたくさんあるわけで、そんな病いに冒されたときの不安や恐怖は計り知れない。

息子が初めて首の異常を訴えたとき、父親と母親が「寝違えただけでしょ」的な楽観的態度は十分共感できるし、その後の行動も理解できる。蔡明亮監督は本当に心理描写が上手い。

そして「水」の扱い方の巧みさ。この作品は知らず知らず私たちの心の中にも水たまりを作り、しばらく引かずに残り続ける。
ごろちん

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