伊達巻

チャイナ・ガールの伊達巻のレビュー・感想・評価

チャイナ・ガール(1987年製作の映画)
5.0
チャイナタウンとリトルイタリーが隣同士の街NY、激しい差別と危険な環境の中で惹かれ合ったふたり。素朴で一途な愛の物語である一方で、酷なレイシズムの問題が絶え間なく描かれていて、それらの要素が譲ることなく高まるとこまで高まって爆発したラスト数十分の怒涛の展開に泣く。愛する人を見つけた少年がレイシズムの醜さに気付いて、差別主義者のダチを責め立てる。急にどうした?って言われて上手くは言い返せないけど、とにかく嫌なんだと必死で抗う姿がリアルで良かった。死んだ息子に帰っておいでと泣きながら縋り付くも周りから引き剥がされていくシーン、溝口の山椒太夫の例のシーンと似たとんでもない迫力。そしてひとり座り込む母を映すショットにどうしようもなく胸が締め付けられる。ひとつひとつの画がキマッてるのにカット割がものすごい激しくて贅沢。お互いの言葉で愛してるを交わす、その素直さにぐっときてしまう。怒りは頂点に達し、決意の狼煙が上がる。おれには行くところがある。
伊達巻

伊達巻