『ターミネーター2』等、数多くのジェームズキャメロン作品で視覚効果を務めた、ジョンブルーノの唯一の監督作品にて、90年代後期を代表するSFパニック映画。
《とある貨物船が大型台風に遭遇し、台風の目に出て一時をやり過ごそうとした所、乗組員の一人が漂流するロシアの大型探査船を発見。
人気のない探査船に乗り込み、ロシアから報奨金をたんまり貰えると嬉しがっていたその時、唯一の生存者がロッカーの中から現れ、衝撃の一部始終を乗組員に語る。
実は貨物線が台風に巻き込まれる7日前、ロシアの宇宙ステーションに宇宙から飛来した電磁波生命体が襲撃、アンテナを介してこの探査船を乗っ取り、船のデータベースを使って人類を調べ上げていた。その結果、電磁波生命体は人類は全てに有害な存在と認識したため、探査船の乗組員を皆殺しにし、全ての人々を根絶やしにするため行動を開始したのだった。
船の電気回路が復旧し、電磁波生命体が活動を再開する中、貨物線の乗組員はこの探査船から生き残ることができるのだろうか》
公開当時タイムリーな話題だった、インターネットなどの電子機器の危険性をテーマにした、『エイリアン』ライクな物語。
電磁波自体が生命体なので姿形は存在せず、機械や人体を依代とすることで自然界に介入することができるというアイデアは画期的だった。
宇宙から来た生命体なのに人の言葉が理解できるのも、PCの情報を通して学習したからと理由付けが為されているのもいい。
話は単調かつ、後半になるにつれて盛り上がりに欠けるが、あの『マッドゴッド』を作り上げたフィルティペットによる機械生命体のグロテスクな造形と、正気を失った貨物船の船長を演じるドナルドサザーランドの怪演が魅力的。
ラストでいつの間にか台風が過ぎ去っているのはご愛嬌。