にしやん

私の20世紀のにしやんのレビュー・感想・評価

私の20世紀(1989年製作の映画)
3.7
只ひたすらに二元論や。一卵性双生児姉妹が生まれて、ここから二つの物語が始まるねん。その後二人は生き別れるんやけど、その後大人になって、一人はヘタレな革命家になり、片やもう一人は色っぽい詐欺師になるんや。先ずは「革命」と「詐欺」。まさしくそれは「映画」やな。ここまではええとしょ。ここからは正に二項対立のオンパレードや。電球とマッチ。汽車とロバ。電信と伝書鳩。19世紀から20世紀になるにつれてとって代わってしもたもんの二項対立。いやー、まだまだあんで。アメリカとヨーロッパやら、富裕と貧困やら、西と東やら、ブルジョアとプロレタリアートやら、先進と後進やら、機械と動物やら。そうそう、極めつけは「母親」と「娼婦」やろな。あの学者のおっさんの弁舌は、時代性もあんのやろけど、まあ酷い論理やわ。女の人怒るよ。ほんまびっくりやわ。ちゅうか何ちゅうか、うとうとしてたん一気に目ぇ覚めたけどな。ははん、母親がリリで、娼婦がドーラかいな?映画では二人は別人やけど、まあ同一人格の中に同居してるっちゅうことやろな。謎の男Zかて区別ついてへんし、わしらも最後はどっちがどっちか分からんようになってしもたしな。それと、この「母親」と「娼婦」の講義を聞いてるんは全員女性で、電極の実験の講義は全員男性。もうほんま切りないで。もしまだ他にあったら誰か教えてーな。
最近やってた「心と体と」の監督が1989年に撮った長編デビュー作らしいわ。この監督はホンマこういう図式もんが好きなんやな。だいたいからして「心と体と」やもんな。ザッツ、二元論。「私の20世紀」は双子の「同床異夢」で、「心と体と」は逆で男と女の「異床同夢」やし。ロバと鹿もそうやしな。もう一生やっとれやわ。
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