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リトアニアへの旅の追憶のnagashingのレビュー・感想・評価

リトアニアへの旅の追憶(1972年製作の映画)
4.0
人間のおぼろげな記憶をそのまま再現したかのような映画。あるいは長く引き伸ばされた走馬灯。不確かでふぞろいなイメージのつぎはぎ。発表から半世紀近くたっていることがより郷愁をかきたてる。過去をたどる道程それ自体がたちまち過去へと押し流されていってしまう不可避的な儚さ。失われた故郷や死んでいった人々に対する感傷が、人の精神と叡智の宿った文化や芸術に永遠を見いだす、というナイーブすぎる祈りに泣く。メカス自身による親密なささやきがまたエモい。ラストの大火を予見するように、花や炎の赤だけがあざやかに浮き上がっていたのがすごく印象的。
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